SNSなどで出っ歯がかわいいという人がいるように、近年では出っ歯に対するイメージが多様化しています。上の前歯が前方へ突出している状態を出っ歯といい、歯並びの乱れである不正咬合の一種ですが、中にはそれがかわいいと好意的に評価される方もいます。

一方、出っ歯をそのままにしておくと、口腔内のトラブルや健康面に影響を及ぼす可能性があり、いくつかのリスクが考えられます。本記事では、出っ歯がかわいいと言われる背景にある理由に加え、放置によるデメリット、矯正をはじめとした改善及び治療の選択肢について分かりやすく解説します。

出っ歯はかわいい?と感じられる理由とは

出っ歯は不正咬合の一種で、専門的には上顎前突と言い、コンプレックスに感じる方も少なくありません。一昔前までは歯並びが悪ければ治すべきと見られがちでしたが、現在では歯の形のみでなく、笑顔や顔立ちなど全体のバランスにより、個性のひとつとして肯定的に捉えられるケースも少なくありません。

出っ歯がかわいいと言われる背景

出っ歯がかわいいと言われる理由には、このような背景があると言えます。

  • 幼さや親しみやすさを感じさせる
  • 笑ったときに表情が柔らかく見える
  • アニメや芸能人などの影響でポジティブな印象が広まった
  • 完璧すぎない自然さが魅力と感じられる

特に日本の場合、少し不完全なところが愛らしいという価値観があり、軽度の出っ歯がチャームポイントとなることがあります。

出っ歯が与えるポジティブな印象・ネガティブな印象

ただし、出っ歯は見る人や状況によっても、印象が大きく変わります。

ポジティブな印象

優しそう、話しかけやすい、個性的で印象に残りやすいという印象の他に、どのようなポジティブな印象があるか挙げていきます。

愛嬌があると見られる
愛嬌があり笑顔が多い方は、特徴的な出っ歯が明るく親しみやすい印象を与えることがあります。その方らしい笑顔と周囲に感じさせれば、かわいい、魅力的と思われる個性となることも少なくありません。

出っ歯以外の歯並びが綺麗
歯が前に出ていても、前歯以外の歯並びや口元に、清潔感や左右差のない印象があれば、全体の歯並びが整っていると明るい印象を与えることがあります。

軽い出っ歯である
出っ歯が軽度か中度か重度かにより見た目の印象は大きく変わりますが、軽い出っ歯は、小動物のようなかわいらしさがと捉えられることがあります。ただし、重度の出っ歯であれば違和感が生じてしまうことが大きいです。

ネガティブな印象

一方、出っ歯には次のようなネガティブな印象を持たれる可能性も否定できません。

  • 口元が前に出て見える
  • 横顔のバランスが気になる
  • 大人になるにつれて幼く見られることがある

出っ歯がかわいいと感じるかどうかは年齢や程度、顔立ち、本人の雰囲気によって左右されます。

出っ歯を放置することで起こりうる健康リスク

見た目の印象のみでなく、出っ歯には健康面のリスクも存在します。かわいいと言われていても、機能面に問題があれば注意が必要です。出っ歯を放置することで起こりやすいトラブルについて挙げてみましょう。

歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病のリスクが高まる
出っ歯であれば、正常な歯並びよりも歯ブラシの毛先が届きづらい部分があります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まり、口腔内の環境が悪化することが予想されます。

奥歯に負担がかかる
出っ歯では前歯で食べ物を噛みちぎることが難しく、食事の時に奥歯で噛んでしまいます。どうしても奥歯に負担がかかり、欠けたり割れたりするリスクが高まり、最終的には奥歯を失ってしまうケースもあります。

前歯で口が閉じにくく、口呼吸になりやすい
出っ歯は口が閉じにくくなり、どうしても鼻呼吸より口呼吸になってしまうリスクがあります。口呼吸が続くと口腔内が乾燥し、細菌の増殖を抑える自浄作用を持つ唾液が十分に行きわたらなくなってしまいます。

噛み合わせの悪さが顎関節や肩こりに影響することがある
嚙み合わせのバランスが悪くなってしまうと、顎関節に負担がかかります。その場合、顎関節症になるリスクが高く、また、顎の咀嚼筋は首や肩の筋肉と繋がる近い部分であるため、肩こりが生じてしまいます。

発音が不明瞭になるケースがある
出っ歯は前歯が大きく前に出ているため、舌や唇の動きが限られてしまいます。空気の通り道や舌を本来置く位置がずれてしまうと、発音が不明瞭になることがあります。サ行などの摩擦音、タ行などの破裂音が例として挙げられます。

外傷のリスクが高い
前歯が前方に出ていると、転倒したり顔を打ち付けた際に、前歯が折れたり欠けやすくなります。通常の歯並びの方よりも、外傷のリスクは高いため気を付けなければなりません。

重度の場合、睡眠時無呼吸症候群の原因になる可能性があります。イメージだけで判断せず、歯並びの機能性にも目を向けることが大切です。

かわいい?コンプレックス?ギャップに悩む心理

周囲から出っ歯でかわいいと言われても、本人が必ずしも前向きに受け取れるとは限りません。特に思春期や社会人になるタイミングで、次のような悩みを抱える人も多くいます。

  • 写真を撮るときに口元を隠してしまう
  • 笑顔に自信が持てず笑顔が硬くなる
  • 就職活動や人前で話す場面が気になる

他人の評価と自己評価のズレがコンプレックスを生むことがあります。重要なのは、かわいいかどうかではなく、自分自身が出っ歯の状態をどう感じているかです。

出っ歯は治すべき?矯正を考える判断ポイント

出っ歯はかわいいから治さなくていい?でも治すべき?と迷う方は、このポイントを基準に考えてみてください。

噛み合わせに問題はないか
虫歯や歯周病になりやすくないか
見た目について強いストレスを感じていないか
将来的な健康リスクが心配か

これらのうち一つでも当てはまる場合、歯列矯正を検討する価値は十分にあります。矯正は欠点をなくすためだけでなく、歯の健康と見た目への自信を改善することです。

出っ歯を改善する主な矯正方法の種類

出っ歯の程度やライフスタイルによって、適した治療法は異なります。代表的な方法をまとめてみました。

マウスピース矯正 ワイヤー矯正 セラミック矯正
仕組み 半透明のマウスピースを交換し歯を動かす治療法 歯にブラケットを付けワイヤーの力で歯を移動させる矯正法 歯を全周削って整え、セラミックの人工歯で見た目を整える治療法
程度 軽度~中等度 中等度~重度まで幅広い 歯を動かす矯正ではなく見た目の改善
見た目 目立ちにくい 表側は目立ちやすいが、裏側か白い装置で軽減可 非常にきれいに整えやすい
通院頻度 1~2か月に1回程度 月1回程度が一般的 数回
メリット ・目立ちにくい・食事や歯磨きの際に外せる・金属アレルギーの心配が少ない ・適応範囲が広い・細かな歯の移動がしやすい・中~重度にも対応 短期間で見た目の印象を変化・色や形をデザイン・軽い凸凹やすき間の見た目調整に向く場合がある
デメリット 装着時間不足では治療期間が延長・重度や骨格性は適応外になり得る ・装置が目立つ・歯磨きが難しく細菌感染する可能性 歯を大きく削るため慎重な判断が必要・再治療が必要になる可能性・歯周状態によって不向き
向いている人 見た目を重視・装着管理が可能・軽~中等度の出っ歯を整えたい 確実性と適応範囲を重視・中~重度の出っ歯を改善したい 短期間で見た目を最優先・歯の色や形まで整えたい

どの治療法が最適かは、矯正歯科で専門的な診断を受けたうえで決めましょう。

見た目のみではない!出っ歯を改善する本当のメリット

出っ歯を改善することで得られるのは、見た目の変化だけではありません。

  • 口元や横顔のバランスが整う
  • 歯磨きがしやすくなり、口腔内環境が改善
  • 噛み合わせが安定し、食事が快適になる
  • 笑顔や会話に自信が持てる

矯正治療により、心理面や健康面の両方に良い影響をもたらす可能性があります。

出っ歯と上手に向き合うために大切な考え方

出っ歯がかわいいという評価は、確かに一つの価値観です。しかし、それがすべての人に当てはまる正解ではありません。大切な点を挙げてみましょう。

自分がその歯並びをどう感じているか
将来の歯の健康をどう考えるか
無理に他人の意見に合わせていないか

出っ歯を個性として受け入れるのも、矯正で改善するのも、どちらも間違いではありません。正しい知識を持ち、自分にとって納得できる選択をすることが、後悔しない一番の近道です。

まとめ

出っ歯はかわいい?という問いに対して、1つの答えはありません。かわいいと感じる方もいれば、悩みの種になる方もいます。見た目、健康、心理のバランスを考えながら、自分らしい選択をしていきましょう。