インプラント

インプラントは誰でも受けられる?治療の適応条件と注意点

インプラントは誰でも受けられる?治療の適応条件と注意点

「インプラントって誰でもできるの?」そんな疑問、ありますよね。

実はこの質問、歯科医院のカウンセリングでよく聞かれるものなんです。

とくに初めてインプラントを検討する患者さんは、「年齢的に大丈夫かな?」「持病があるけど問題ない?」「骨が少ないって言われたけど、無理なの?」といった不安を抱えていることが多いです。

また、ネットやSNSで「インプラント失敗談」を見てしまい、必要以上に怖がってしまっているケースもあります。

ですが、実際は医師の正しい診断と適切な準備があれば、多くの方がインプラント治療を受けることが可能です。

このコラムでは、そういった漠然とした不安を少しでも減らし、「私でも大丈夫かもしれない」と前向きになれるよう、丁寧に解説していきます。

インプラントを無理に受けると、こんなリスクも…

無理に受けた時のリスク

インプラント治療は、天然の歯と同じように機能する優れた技術ですが、「外科手術」という側面を持っています。

だからこそ、「誰にでも無条件で安全に行える」というわけではないのです。

たとえば、血糖値がコントロールされていない糖尿病の患者さんでは、手術後の感染リスクが高まりやすく、インプラントと骨がうまく結合しない場合があります。

また、喫煙の習慣がある方は、ニコチンによる血流障害の影響で、傷の治りが遅れたり、インプラント周囲炎のリスクが高まったりします。

こうしたリスクを事前に回避するためにも、治療前の問診や精密検査がとても重要なのです。

もしインプラント治療が適していない状態で無理に施術を行うと、次のようなトラブルが起こる可能性があります。

インプラントが骨と結合しない
→「初期固定」が不十分だと、動揺して脱落のリスクが高まります。

インプラント周囲炎のリスク増加
→歯垢や歯磨き不足が原因で、歯周病に似た炎症が発生します。

術後の治癒が遅れる
→糖尿病などの全身疾患があると、感染リスクも高まります。

これらは結果的にインプラントの寿命を縮めてしまう原因になりかねません。だからこそ「誰でも大丈夫」という認識はNG。医師の判断が重要です。

インプラントが向いている人とは?

向いている人

「自分がインプラントに向いているかどうか、正直わからない…」という声もよくいただきます。ここでは、インプラント治療が特に向いているとされる患者さんの特徴をご紹介します。

インプラントが向いている人の特徴

1本だけ歯を失ってしまった人
→周囲の健康な歯を削らずに治療できるので、他の歯への負担が少ないです。

しっかり噛めるようになりたい人
→インプラントはあごの骨に固定されるため、天然歯に近い咀嚼力が得られます。

見た目を自然に保ちたい人
→セラミックなどで作られた人工歯は、色や形を周囲の歯に合わせられ、違和感がありません。

入れ歯が合わずに悩んでいる人
→違和感・ズレ・外れやすさから解放され、快適に日常を過ごせます。

お口の清掃がきちんとできる人
→インプラントを長く保つには、歯磨きや定期的な健診が欠かせません。

ほかにも、以下のような方もインプラントが適しているケースがあります。

スポーツや旅行が好きなアクティブな方
→入れ歯の脱落を気にせず、自由に動ける安心感があります。

周囲に気づかれずに治療したい方
→インプラントは天然歯に近く、治療したことが見た目にわかりにくいです。

これまでブリッジなどで後悔した経験がある方
→健康な歯を削ることに抵抗があった方にとって、インプラントは大きな魅力になります。

つまり、
「健康な骨と歯ぐきを持ち、自分のお口の健康に関心が高い方」ほど、インプラントに向いている傾向があります。

もちろん、年齢だけで向き不向きを判断するものではありません!
70代・80代の患者さんでも、しっかりケアをされていれば安全に治療できるケースも多くあります。

インプラントが受けられる条件とは?

では、逆にどんな人ならインプラントを受けられるのでしょうか?
以下のポイントをクリアしていることが望ましいとされています。

顎の骨がしっかりしている
→インプラントを固定する土台となる骨の量・密度が十分あること。

全身疾患の管理ができている
→糖尿病や心臓病があっても、コントロールされていれば治療可能なこともあります。

お口の衛生状態が良好
→歯垢をためにくく、歯磨きや健診をしっかり行える方。

喫煙していない、もしくは禁煙できる
→喫煙はインプラントの結合や治癒を妨げる原因となります。

ここでの「顎の骨がしっかりしている」とは、単に骨があるというだけではありません。歯周病によって骨が溶けていたり、歯を失って長い間放置していたことで骨がやせてしまっている場合、インプラントを固定するだけの厚み・高さ・密度が不足していることがあります。

このようなケースでは、CT撮影などによって詳細な骨の状態を把握し、必要であれば骨造成(GBR)やサイナスリフトなどの追加処置を行うことで、インプラント治療が可能になることもあります。

また、全身疾患がある患者さんでも、内科と連携して病状をコントロールできていれば、治療ができる場合も多いです。「持病があるから無理だろう」と思い込まず、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

受けられない場合はどうする?代替治療の選択肢もあります

治療法を決める際に大切なのは、「患者さんご自身の生活スタイル」や「希望」をしっかり考慮することです。たとえば、毎日の清掃が難しい高齢の方には、あえて取り外し式の部分入れ歯を選ぶことで、清掃性と管理のしやすさを重視する選択肢もあります。

また、「見た目が気になるから、前歯にはインプラントを」「奥歯はブリッジで十分」など、部位によって治療法を変えるという柔軟な対応も可能です。

歯科医師と相談しながら、「自分にとって一番納得できる選択肢」を探っていくことが大切です。

インプラントが難しいと診断された場合でも、選択肢は他にもあります。

ブリッジ
→両隣の歯を削って橋渡しする方法。固定式なので違和感が少なめ。

部分入れ歯
→取り外し式で清掃がしやすい。周囲の歯をほとんど削らずに済むのが利点。

骨造成や再評価
→骨が足りない場合には、骨を増やす処置を経て再検討することも。

無理に治療を進めるのではなく、患者さんに合った方法を一緒に選ぶことが大切です。

まずは専門医に相談を!正しい診断が安心の第一歩です

「私はインプラント、受けられるのかな…?」
そんなときは、まず歯科医院でカウンセリングと精密検査を受けるのがオススメです!

  1. 顎の骨の状態をCTで確認
  2. 全身疾患や生活習慣をチェック
  3. 必要に応じて医科との連携も可能

しっかりと診断を受けることで、治療の選択肢も広がりますし、将来的なトラブルも未然に防げます。

最近では、インプラント専門の設備や歯科用CTを備えた医院も増えており、より精密で安全な診断が受けられる環境が整ってきています。

また、カウンセリング時には患者さんのライフスタイル・金銭的な不安・将来の希望なども丁寧にヒアリングし、無理のないプランを立てることができます。

「相談=すぐ治療」ではありませんので、ご安心ください。
まずは自分のお口の状態を正しく知ることが、後悔しない選択につながります。

まとめ

インプラントは「誰でもOK」ではないけれど、可能性は広がっています!

インプラント治療はとても優れた選択肢ですが、すべての患者さんに適しているわけではありません。でも、正しく診断し、必要な準備を整えれば、多くの方が治療のチャンスを持てます。

「私は無理かも…」と諦める前に、まずは一度、歯科医院で相談してみてくださいね。患者さん一人ひとりの健康状態に寄り添った、安全で納得のいく治療を一緒に考えていきましょう!

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