「抜歯をしたら、インプラントは何日後に入れられるの?」「歯を抜いたその日は無理?数か月待つべき?」

インプラント治療を検討している方のなかには、このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、インプラントは条件が整っていれば抜歯した当日、つまり抜歯後0日で埋入できる場合がありますが、すべての方が抜歯と同時にインプラントを入れられるわけではありません。歯ぐきの治癒を待って抜歯後4〜8週間程度で行うケースや、骨の回復を待って12〜16週間程度で行うケース、さらに長期間待ってから治療するケースもあります。抜歯後何日で入れられるかに全員共通の答えはなく、骨の量、感染や炎症の程度、歯ぐきの状態、インプラントを固定できるかどうかなどを診断して、適切な時期を決めることが重要です。

この記事では、抜歯後にインプラントを入れるタイミングや、それぞれのメリット・注意点についてわかりやすく解説します。

インプラントは抜歯後何日で入れられる?

抜歯後のインプラント治療は、大きく分けると、抜歯直後に入れる方法と一定期間治癒を待って入れる方法があります。入れられる時期の目安を簡単にまとめました。

抜歯後の時期 埋入方法 目安・特徴
当日(0日) 抜歯即時埋入 抜歯と同時にインプラントを埋入
約28〜56日後
(約4〜8週間)
早期埋入 歯ぐきの治癒を待ってから埋入
約84〜112日後
(約12〜16週間)
早期埋入 骨が部分的に治癒してから埋入
3〜6か月以上 待時埋入 骨や歯ぐきの十分な治癒を待ってから埋入

どの方法にもメリットと注意点があり、早くインプラントを入れるほど良い、長く待つほど安全と判断はできません。日数はあくまで目安であり、実際の治療時期は、歯科用CTなどを用いて顎の骨の高さ・幅・形態を確認し、歯ぐきの状態や炎症、全身状態なども含めて判断します。また、早期埋入、待時埋入という言葉も、歯科医院によって示している期間が多少異なる場合があります。何日待てばよいかという数字だけではなく、その時点で安定して埋入できる状態になっているかが大切です。

抜歯後にインプラントを入れる主なタイミング

抜歯即時埋入、早期埋入、待時埋入についてご説明します。

抜歯即時埋入(Immediate implant placement)|抜歯当日

抜歯即時埋入とは、歯を抜いたその日のうちにインプラントを埋入するため、0日で歯を入れます。抜歯とインプラント埋入を同日に行えるため、治療期間や外科処置の回数を減らせる可能性があります。抜歯即時埋入の主なメリットを挙げましょう。

  • 抜歯とインプラント埋入を同日に行える
  • 治療期間を短縮できる可能性がある
  • 手術回数を減らせる場合がある
  • 抜歯後の組織変化を考慮しながら治療を進められる

治療期間をできるだけ短縮したい方にとっては魅力的な方法ですが、誰でも選択できるわけではありません。

抜歯即時埋入ができないこともある

抜歯直後の部位でインプラントを安定させるには、適切な位置で固定できる骨が必要です。骨の欠損が大きい、強い急性炎症や感染が認められる、インプラントの初期固定を得にくい、骨造成などの追加処置が必要、審美的なリスクが高いという場合には、抜歯即時埋入を避けて治癒を待つことがあります。早く治療したいから即時埋入と患者さん自身で決めるのではなく、検査結果をもとに歯科医師と相談する必要があります。

早期埋入(Early implant placement)|抜歯後約28〜56日

抜歯後すぐにはインプラントを入れず、歯ぐきの治癒を4〜8週間ほど待ってから埋入します。日数にすると、おおむね抜歯後28〜56日程度で、この時期になると、抜歯直後に比べ、歯ぐきが治癒しているため、軟組織を扱いやすくなることがあります。抜歯当日の即時埋入が難しい場合でも、必ずしも半年近く待つ必要があるとは限らず、状態によっては1〜2か月程度の治癒期間を設けることで、インプラント治療へ進める可能性があります。早期埋入のメリットを挙げましょう。

  • 歯ぐきの治癒をある程度待てる
  • 抜歯直後より状態を評価しやすい
  • 長期間待つ場合と比べて治療期間を短くできる可能性がある

ただし、抜歯後1〜2か月たてば必ず手術できるわけではありません。骨欠損の程度や治癒状態によっては、さらに期間を置いたり、骨造成を併用することがあります。

骨の回復を待つ早期埋入|抜歯後約84〜112日

歯ぐきだけでなく、抜歯した部分の骨がある程度回復するまで待ってからインプラントを埋入します。抜歯した部分は、時間の経過とともに歯ぐきが閉じ、内部でも治癒が進んでいきます。抜歯直後では十分な初期固定が得られないと判断された場合でも、骨の治癒を待つことで適切に固定しやすくなる場合があります。

ただし、治癒期間を設ければすべての骨が元通りになるわけではありません。抜歯後には顎の骨の形態が変化するため、もともとの骨量が少ない場合などには骨造成が必要になる可能性があります。

待時埋入|抜歯後約3〜6か月以上

感染や大きな骨欠損などがある場合には、抜歯後すぐにインプラントを入れず、治癒期間を設けることがあります。3〜6か月以上待つことがあり、待時埋入と呼びます。時間を置くメリットは、炎症や感染への対応、骨造成などを含めて治療計画を立てやすくなることです。その一方、入れるまでの期間が長くなれば、最終的な被せ物が入るまでの治療期間も長くなります。

抜歯後には顎の骨の形や幅が変化していくため、将来的にインプラントを希望している場合は、抜歯したまま長期間放置せず、早めに歯科医院で相談することが重要です。長く待てば待つほど良いとは限らないです。

インプラントを入れる時期を左右する5つのポイント

インプラントは抜歯後何日で入れられるかは、カレンダーだけでは判断できません。特に、重要なポイントを5つ挙げます。

1.顎の骨の量と形

インプラントは顎の骨に埋入して固定する治療であるため、予定している部位に十分な骨があるかどうかは非常に重要です。骨の高さや幅が不足している場合には、GBRなどの骨造成を検討するケースもあります。

2.抜歯した部分の炎症や感染

抜歯の原因が重度の歯周病や根の先の炎症などである場合、周囲組織の状態を慎重に評価する必要があります。強い急性炎症が認められる場合などは、炎症のコントロールを優先し、治癒を待ってからインプラント治療へ進むことがあります。

3.インプラントの初期固定を得られるか

インプラントを埋入した直後に、骨の中で十分な安定性を得られるかどうかも重要です。抜歯後のインプラント埋入では、適切な位置にインプラントを設置し、初期固定を得られることが重要な条件です。抜歯した穴が大きい場合や骨欠損が広い場合などには、即時埋入ではなく治癒を待つ選択肢が適することがあります。

4.前歯か奥歯か

インプラントを入れる場所もタイミングを決める一つの要素です。前歯は噛む機能だけではなく、歯ぐきのラインや歯の形など見た目への配慮が、対して奥歯では噛む力に耐えられる位置・方向にインプラントを配置することが重要です。骨があるから入れられるというだけではなく、最終的な被せ物まで想定した治療計画が求められます。

5.全身状態や生活習慣

インプラント治療では口の中だけでなく、全身状態も確認します。持病や服用薬、喫煙習慣などによって治療計画や治癒への配慮が必要になる場合があるため、診察時には現在治療中の病気や服用中の薬を正確に伝えましょう。

抜歯後に長期間放置するとどうなる?

抜歯してから数年たってしまったため、もうインプラントはできないのではと不安に思う方もいるでしょう。抜歯後に長期間経過していても、インプラント治療ができないと決まったわけではありませんが、顎の骨の形態が変化するため、抜歯直後より骨の幅や高さが不足しているケースがあります。骨が不足している場合には、状態に応じて、骨を作る処置を行います。

  • GBR(骨誘導再生法)
  • 骨移植
  • 上顎洞に関連する骨造成処置

どの処置が必要になるかは、入れる場所や残っている骨の状態によって異なります。そのため、抜歯から数年たっている場合でも勝手に諦めず、まずはCTなどによる診断を受けることが大切です。

インプラントを考えているなら抜歯前の相談が重要

これから抜歯する予定で、将来的にインプラントを考えている場合は、できれば歯を抜く前に歯科医師へ相談することをおすすめします。抜歯前から治療計画を立てておけば、次の点を事前に検討できます。

  • 抜歯と同時にインプラントを入れられる可能性があるか
  • 抜歯後に何週間待つべきか
  • 骨造成が必要になりそうか
  • 抜歯時に骨を保存する処置を検討するか

抜歯してからインプラントを考えるより、抜歯前から最終的な歯の位置まで考えて治療計画を立てるほうが、選択肢を検討しやすくなります。

インプラントを入れてから歯が入るまでの期間

インプラントを埋入できる時期と、最終的な歯が入る時期は別だということを覚えておきましょう。例えば、抜歯した当日にインプラントを埋入できたとしても、その日に必ず最終的な被せ物まで入るわけではありません。インプラントを顎の骨に埋入した後は、骨との結合状態などを確認しながら治療を進めます。このような流れで進むことが多いです。

  1. インプラントの埋入
  2. 治癒期間・経過観察
  3. 必要に応じて歯ぐきの処置
  4. 型取りや口腔内スキャン
  5. 仮歯による調整
  6. 最終的な被せ物の装着

抜歯後0日でインプラントを入れられるということは、治療がその日に終了するという意味ではありません。仮歯による調整を行ってから、最終的な被せ物の装着を行います。全体の治療期間は、骨の状態、埋入する本数、骨造成の有無、治癒速度などによって大きく変わります。

よくあるご質問

インプラントを抜歯後何日で入れるかということに関するご質問をまとめました。

インプラントは抜歯後何日で入れるのが一番良いですか?

全員に共通する一番良い日数はありません。条件が良ければ抜歯当日の0日で埋入できる場合がありますが、4〜8週間、12〜16週間、あるいはそれ以上待ったほうが適している場合もあります。骨、歯ぐき、感染、初期固定の可能性などを診断して決定します。

抜歯して1か月後でもインプラントはできますか?

可能な場合があります。抜歯後4〜8週間程度は、軟組織の治癒後に行う早期埋入の時期ですが、1か月たっているという理由だけで治療可能と判断はできません。CTや口腔内の診査が必要です。

抜歯して3か月後ならインプラントできますか?

3か月前後でインプラントを埋入できるケースはあります。ただし、感染や骨欠損が大きかった場合などは、さらに治癒期間や骨造成が必要になる可能性があります。

抜歯当日にインプラントを入れるのは危険ですか?

抜歯即時埋入そのものが危険な治療というわけではありません。適切な患者・部位を選び、十分な診断と治療計画のもとで行うことが重要です。一方、骨や歯ぐき、感染などの条件によっては即時埋入を選択しないほうがよいケースもあります。

抜歯から数年たっていますがインプラントはできますか?

可能なケースはありますが、抜歯後の骨の状態によっては骨造成などの追加治療が必要になることがあります。時間がたったから無理と決めつけず、まずは歯科医院で相談し、CT検査などで骨の状態を確認しましょう。

インプラントにするか決めていなくても、抜歯前に相談したほうがいいですか?

将来的にインプラントを選択する可能性があれば、抜歯前から相談するメリットがあります。抜歯方法や治療時期、骨を保存するための処置などを含めて計画できる可能性があるためです。まだインプラントにすると決めていない場合でも、将来の選択肢として考えていると歯科医師に伝えておくとよいでしょう。

まとめ

「インプラントは抜歯後何日で入れられるのか」という疑問に対しては、最短なら抜歯当日の0日で埋入できる場合がありますが、それ以外にも早期埋入、通常埋入、待時埋入などの複数の選択肢があります。

抜歯から何日たったかだけではなく、インプラントを適切な位置に安定して埋入できる骨と歯ぐきの状態が整っているかどうかです。特に、これから抜歯する予定があり、将来的にインプラントを考えている方は、できるだけ抜歯前の段階で相談することをおすすめします。早い段階から治療計画を立てることで、抜歯即時埋入が可能か、治癒を何週間待つべきか、骨造成が必要かなどを事前に検討できます。インプラントは抜歯後何日で入れられるのだろうと悩んでいる方は、日数だけで判断せず、まずは歯科医院で骨や歯ぐきの状態を詳しく診てもらい、自分に合った治療時期を確認しましょう。